歯ぐきの黒ずみの治療 オールセラミックとメタルボンドの違い!
歯並びの話題が多かったので、今日は久しぶりに審美歯科の話です。昔、セラミックで治療した前歯の歯ぐきの部分が黒く見え(緑丸)て悩まれている方です。歯と歯ぐきの境目部分がブラックラインになって見え、歯ぐきの部分も暗褐色になっています。

どうしてこうなってしまったのでしょうか。
それはメタルボンドの光の透過性が自然な歯の状態と大きく異なっているためです。メタルボンドは金属のフレームの上に白いセラミックを焼きつけて作成するため、金属の部分が光を遮断して周囲が陰になって暗く見えてしまうためです(ちょっとわかりにくいかもしれませんが)。また、エナメル質や象牙質の透明感がなく、白さもまったりとした色合いになってしまうため、隣りに並ぶ天然歯と比べ、色合いが微妙に違って見えてしまうのです。艶と光沢は問題はありません。一方、オールセラミッククラウンは本来の歯と同じ強度や透明感があるので、影を作ることはありません。
治療前の状態です。歯ぐきの黒ずみ以外にも、歯の大きさや長さ、中心線のふぞろいなど様々な問題がありました。緑丸のメタルボンドをすべてオールセラミックに作り直しました。歯の大きさや長さ・形、上下の中心線も極力そろえました。

メタルボンドとオールセラミックの歯の違いです。

断面で見るとこのような構造をしています。
光が歯を透過していく様子を絵でしめすと、こんな感じです。
つまり、鉄板の向こうは何も見えないけれど、曇りガラスならなんとなく向こうの気配を感じられるということで、実際の天然な歯も向こうが透けて明るい構造になっているのです。
昔は、強度のある金属のフレームが多用されていましたが、現在ではジルコニアの登場やセラミックそのものの強度が高まり、CAD・CAMの技術(3Dプリンターの応用)の向上もあって、ほぼ理想的な治療法となってきました。